ERPの短期導入

 Oct 13, 2022 11:35:24 AM  富士フイルムデジタルソリューションズ株式会社

 

 ERPの短期導入需要 

ERPを「早く」「安く」「品質良く」導入したいというのはどの企業にも共通した要求です。スクラッチベースのシステム導入では1年以上の期間を掛けて構築していたところをパッケージ導入なので半年で導入できるのではないかなどと考えられます。私たちERP導入ベンダーとしては日々、何とか少しでも短い期間でERP導入をできるようにと改善を重ねて来ています。

短期導入に必要な条件① 

従来は1年程度のERP導入期間であったものが最近では9か月や10か月の導入期間が普通になって来ました。それでもユーザー企業の要求からは、まだまだかけ離れているのです。6か月以内の期間で導入できることが目標です。条件さえ揃えばこの目標はクリアできるのです。たとえば、ERPの標準機能(ERP導入ベンダーのテンプレート機能)ベースで導入し、アドオン開発が極めて少ないという状況では3~6か月での導入も可能なのです。現に日本企業の海外拠点への導入については6か月程度でのERP導入が実現しているのです。日本企業の国内事業所への導入では、アドオン開発は行わないという強い意志が求められます。 

私たちはこのようにERP導入期間を短縮するためにテンプレート機能の拡充を日々継続して行っています。つまり標準機能ベースで判断するとGapとなりアドオン開発が必要な機能を前もってテンプレートとして用意しておくということです。これが拡充していけば、本来Gapとなった部分がGapでなくなり、導入期間は短く・導入費用も低減ができるわけです。ERPパッケージの評価では、導入ベンダー提供のテンプレートを込みにして判断することが必要な理由はここにあります。 

短期導入に必要な条件② 

さてここまでERPの導入期間を短縮する条件として標準機能(ERP導入ベンダーのテンプレート機能)ベースで導入し、アドオン開発が極めて少ないという状況を上げました。それ以外の条件を考えてみましょう。 

そもそものシステム要件を詳細に固め過ぎていないということも条件になります。たとえば、システム機能要件の一覧が詳細に記述されたRFPが発行されERP導入ベンダーに提示されて提案を求められると、通常の導入フェーズを順に進めるウォーターフォール型の導入提案となります。その場合は当然のごとく、導入期間は短くはなりません。したがって、短期導入のためにはシステム機能要件は詳細には決まっていないことが望ましいといえます。 

しかし、このことは無条件で望ましいことではありません。このような状況のもと短期間でERP導入を進めた場合に発生が予想される事態として、実業務をERPの標準機能(ERP導入ベンダーのテンプレート機能)に照らし合わせた場合に取引のケースとして検討漏れがあり、構築後に機能が満足できないケースが発生してしまう可能性が挙げられます。 

 ERP短期導入のために

短期導入を問題なく進めるためには、このような事態を招かないようにするための条件をさらに追加することが必要になります。それは、実業務をERPの標準機能(ERP導入ベンダーのテンプレート機能)に照らし合わせる検討の際に業務の漏れが無いようにするということです。具体的には、ERP機能検証の際に実業務に精通したメンバーが参加して業務の漏れなく検証を行うということです。ERP導入ベンダー側としても、他社での導入実績や事例などから業務の漏れがないように細心の注意を払い、確認のための質問を行っていくことが必要です。ERP導入ベンダーとしても実績を積んだERPコンサルタントのアサインが求められます。 

 まとめ

これまでに述べてきました短期導入が実現できるための条件を整理すると以下の通りです。① ERP標準機能(ERP導入ベンダーのテンプレート機能)ベースで導入し、アドオン開発は(極力)行わない強い意志がある ② システム機能要件が詳細に決められていない。③ ERP機能検証に実務に精通したメンバーが参加して業務の漏れなく検証する ④ ERP導入ベンダーも実績を積んだERPコンサルタントをアサインして業務の漏れが発生しないように細心の注意を払う実は、さらに次のような条件を追加したいと考えています。 ⑤ 対象業務の範囲が大き過ぎない(全ての業務をいっぺんに導入しない) 全ての業務領域を対象とするとプロジェクト体制としても大きくなり、業務間での調整も多くなり時間が取られてしまいます。また、ERP導入ベンダー側としても実績を積んだERPコンサルタントを多数アサインすることは難しいものです。 

 したがって、できることなら業務を限定して段階的に導入していく方式が望ましいといえます。たとえば、まずは会計管理、次に販売管理・購買管理・在庫管理、最後に生産管理などのように段階的な導入にするということです。 

 このような業務別の段階導入では業務間のI/Fが必要になるなどのデメリットはありますが、規模の小さなプロジェクトになりますのでリスクも小さく、成功しやすくなります。無駄なI/Fは必要となりますが、結果的に期間を短く・安く・品質良く導入ができます。 ERP導入をご計画の際には、これまで述べて参りました短期導入も一つの選択肢としてご検討いただければと思います。 

 

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