品質管理システムは、優れた製品やサービスを提供するために欠かせません。製品の品質を担保する基準に「規格」があります。なかでも「ISO9001」は世界共通の国際規格として有名です。そこで今回は、品質管理システムについて解説するとともに、ISO9001の取得に必要となる7つの要件、おすすめの品質管理システムをご紹介します。
品質管理システムとは、製品やサービスの品質を継続的に改善していく仕組みを指します。
「Quality Management System(クオリティ・マネジメント・システム)」の頭文字を取って「QMS」とも呼ばれます。主な役割は、製品やサービスの品質を管理、改善することです。たとえば、製品の外観に問題はないか、あるいは製品が仕様書通りに正しく機能するかなど、基準や規格に沿ってチェックし、改善と検証を繰り返します。こうした品質管理に関わる仕組みを行うのが品質管理システムです。
企業にとって、製品の品質はブランドイメージを左右する重要な要素です。企業は、消費者に自社製品やサービスを選んでもらう必要があります。したがって、より良い製品やサービスを生み出すことが企業にとって必要なことであり、そのために重要となるのが品質管理です。品質管理を最適化することで製品の品質が高まり、ひいては顧客満足度の向上につながります。また、業務効率が高まり、組織全体の労働生産性も向上するでしょう。
海外に事業展開している企業にとって品質管理はさらに重要です。とくに米国の医療機器製造や輸出に関わる企業は、米国FDAの審査は避けられません。FDAとは米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)のことで、食品や医療機器を輸出する海外の製造業者に対し審査を行っています。近年、FDA査察状況において品質管理に関する指摘事項が増加傾向にあります。したがって、医療機器の製造や輸出に関わる企業は、より厳格な品質管理が求められるでしょう。
品質管理には品質規格があり、品質管理システムは品質規格を守らなくてはなりません。品質規格とは、寸法や材質、耐久性、安全性などの取り決めを標準化したもので、世界共通の国際規格である「ISO9001」が最も有名でしょう。ISO9001は、日本では国家規格である「JIS」として発行されています。JISの認証を得たということは、国の登録機関が製品の品質を保証したという証です。海外に拠点をもつグローバル企業であれば、世界共通の国際規格であるISO9001の取得は必須といえるでしょう。
ISO9001は、品質管理を行う上で大切な要件を定めています。その要件とは、ISO9001を取得するために企業が実現すべきものであり、7つの原則に基づいて実行される必要があります。品質管理システムにおける7つの原則は以下の通りです。
品質管理システムの目的として、顧客満足度の最大化があります。あらゆるビジネスは、顧客やユーザーの存在によって成立します。したがって、顧客が何を求めているのかを理解し、潜在的なニーズを把握することが大切です。潜在的なニーズとは、顧客自身も言語化できていない需要を指します。どのような業種においても言えることですが、顧客満足度の最大化とは顧客の期待を超えることです。顧客の事前期待を超える製品やサービスを提供する努力が重要といえるでしょう。
より良い製品を創出し、顧客の期待を超えるサービスを提供するためには、優れたリーダーの存在が不可欠です。業務には様々なメンバーが関わり、スキルや考え方、モチベーションも一人一人異なります。しかし、チームは目標を共有し、同じ方向を目指さなくてはなりません。それぞれがバラバラの方向を見ていたのでは、プロジェクトを成功へ導くのは困難となるでしょう。そこで求められるのが強力なリーダーシップです。リーダー不在のチームは、いわば羅針盤のない船と同じで、ゴールにたどり着くのは難しいでしょう。
品質管理においても重要となる組織の実現能力を強化するためには、組織の人々が積極的に参加することが重要です。そのためには企業の理念やビジョンを組織全体が共有する必要があるでしょう。企業理念とは、企業の存在意義を言語化したものです。たとえば、検索エンジンで世界No.1シェアを誇るGoogleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を企業理念としています。何のために事業を営むのかを可視化・言語化することで、全従業員が高いモチベーションをもって業務に取り組めるでしょう。
品質管理を効率的に行うためには、業務プロセスを可視化する必要があります。そこで重要なのがプロセスアプローチです。プロセスアプローチとは、製品やサービスを提供するための工程を、システムとして運用・管理することを指します。プロセスアプローチによって得られるメリットは、業務の標準化です。業務における一連の流れを可視化し、整理してデータ管理することで、すべての従業員が業務を同じレベルで実行可能になります。
品質管理は、試行錯誤を重ねて継続的な改善をすることでブラッシュアップされます。前述したように、顧客満足度の最大化とは顧客の期待を超えることです。したがって、何度も繰り返し改善を行うことが重要であり、それなくして製品やサービスの品質向上はありません。顧客やユーザーが何を求めているのかをリサーチし、潜在的ニーズを汲み取り、より良い製品を創出するために継続的改善を実行しましょう。
製品やサービスの品質を担保するためには、客観的な事実や記録に基づいた意思決定が重要です。主観や抽象的なスローガンではなく、客観的なデータに基づいて目標を立てることで、顧客満足度の最大化にも繋がるでしょう。客観的データに基づく意思決定をするためには、情報のストックが重要です。品質管理に関わるあらゆる情報を収集し、明確な評価基準の構築に努めましょう。
企業は社会を取り巻くあらゆる存在のおかげで成り立っています。それは顧客だけでなく、株主や従業員、仕入先や取引先、地域住民など様々です。こうした組織外との関係性も品質管理における重要な要素です。とくに仕入先や取引先との良好な関係構築は欠かせません。利害関係は対等であり、平等という意識を忘れないことが大切です。顧客満足という共通目的に向けて、利害関係者と互恵関係にあることを理解し、良好な関係を築く企業努力が求められるでしょう。
品質管理の最適化は業務効率を高め、顧客満足の向上につながります。そこでおすすめなのがITシステムの導入による品質管理です。たとえば、富士フイルムデジタルソリューションズ株式会社が提供する「MasterControl™」は、全世界で多くの導入実績があり、統合QMSソフトウェアとして高い人気を誇ります。とくに医薬品・医療機器産業といった、規制の強い業界で多くの支持を得ているシステムです。より良い製品やサービスを提供するためにも「MasterControl™」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
企業が発展していくためには、製品やサービスの品質向上が欠かせません。そして製品の品質を高めるために重要となるのが品質管理システム(QMS)です。品質管理システムを最適化し、より良い製品を提供することで顧客満足度の向上を目指すことが品質マネジメントの意義です。ぜひ、今回の記事を参考にして自社の品質管理業務に応用してください。