ERP とは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、組織が最適なパフォーマンスを実現するために、コアビジネスプロセスの自動化と管理を支援するシステム(いわゆる基幹システム)で、財務、サプライチェーン、コマース、レポート、製造、人事など、企業が行う各活動を1つのプラットフォームに統合する機能を搭載しています。企業のビジネスプロセス間のデータの流れを調整し、情報を一元化し、企業全体の業務を合理化します。
多くの企業では、既に財務・業務システムが導入されていますが、サイロ化していることも少なくありません。サイロ化したシステムでは、日常的な業務プロセスにしか対応できず、将来的なビジネスの成長にも貢献しません。企業規模の拡大とニーズの変化に応じて、利用するシステムもそのペースに対応する必要があります。
従来のERPは個別に機能し、他のシステムとは連携していませんでした。各システムは、企業独自のビジネス要件に対応するために、高コストで複雑なカスタマイズを必要とし、新しいテクノロジーの採用やプロセスの最適化を遅らせたり、妨げたりしていました。
今日のERPは、こうした異なるプロセスを 1 つの柔軟なシステムで実現できる点で異なります。ERPシステム内のデータ接続だけでなく、生産性向上ツール、eコマース、さらに顧客エンゲージメントソリューションとのデータ接続も可能です。これにより、すべてのデータを接続して分析情報を導き出し、ビジネス全体のプロセス最適化に貢献します。
さらに、最新のERPは、柔軟な導入オプション、セキュリティとプライバシーの強化、持続可能性、ローコードによるカスタマイズを実現します。また、得られた分析情報によって継続力とレジリエンス(回復力)のあるビジネスプロセスを構築し、急速な変化への対応を可能にします。
あらゆるビジネスプロセスに対応した万能なソリューションは存在しませんが、ERPのプロセス統合機能はますます向上しています。プロセス、システム、データを連携させることで、業務の最適化に必要なビジネスインテリジェンス(ビジネスの意思決定に関わる情報)、推進力、適応力を得られます。
1. 最適なパフォーマンスの促進:AIを活用したソリューションにより明らかになった分析情報を活用して意思決定を強化し、業務パフォーマンスの改善方法を継続的に見つけ出します。
2. 業務への効果を加速:プロセスとデータを連携させることで、可視性と柔軟性が向上し、従業員の迅速な行動とビジネス全体の価値向上につながります。
3. アジャイルなビジネスの実現:ERPソリューションの多くは、お客様のニーズに適応しながらお客様とともに成長し、業務上の混乱や市場の変化に対して事前に備え、素早く対応できるように構築されています。
ERPは、組織全体の多くのコア機能をカバーすることができ、フロントオフィスとバックオフィス間の障壁を取り除きます。主な機能には次のようなものがあります。
コマース
小売業が直面するさまざまな課題に対してオムニチャネルのコマースソリューションを提供し、バックオフィス、店舗、デジタルの各エクスペリエンスを統合します。小売業者はAIによるレコメンデーションを通じて、よりパーソナライズされたシームレスなショッピング体験を得ることができ、従業員の生産性を高めて不正行為を減らし、ビジネスの成長を促進できます。
財務
収益性改善とコンプライアンス促進を両立させます。ダッシュボードやAIを活用した分析情報で財務の概要を把握し、いつでもどこでもリアルタイムの情報を活用できます。また、日常タスクの自動化によって手入力の手間を削減し、規制やコンプライアンスをサポートする追跡機能を導入できます。
人事
企業データの管理機能を搭載し、給与、採用、その他の業務等、従業員の管理タスクを合理化します。従業員の定着、採用、スキル向上を支援したり、従業員の業績を追跡したりすることが可能で、人事上の問題が発生する前に人事が問題を特定できるようになります。
製造
ロボティックプロセスオートメーションで日常プロセスを自動化し、製造業者がリアルタイムデータを活用して顧客ニーズを満たし、リソースを管理できます。また、プロジェクト管理、コスト管理、製造計画の最適化も実現します。
サプライチェーン
情報入力や商品の在庫追跡を手動で行っている場合、これらのプロセスをERPで自動化することで、時間と経費を節約できます。最新のサプライチェーンソリューションでは、ダッシュボード、ビジネスインテリジェンス、さらにモノのインターネット(IoT)技術も提供されており、在庫管理に役立ちます。
以下のような兆候が見られる場合は、新しいERPの導入を検討したほうがよいでしょう。
1. 現在のツールでは不十分:既存のERPやソフトウェアが市場拡大や成長力を制限してしまっているのであれば、十分な柔軟性を備えた、適切なERPシステムが必要かもしれません。
2. システムが分断されている:テクノロジーの変化に伴い、システム同士がうまく連動しないことがあります。新しい会計ソフトと古い人事システムとの互換性がなく、それらを連動させるために時間とリソースを浪費することになりかねません。
3. 顧客の期待に応えられない:従業員や顧客がモバイル機器を使用しているにもかかわらず、社内システムがそれに対応していない場合、新しいシステムに投資すべきでしょう。従業員に必要なツールを提供し、顧客の期待に応えるために投資することで、競争力を維持できるでしょう。
経営者や従業員が新しいシステムを望んでいるにもかかわらず、ERPの導入や交換に抵抗がある場合は、デモを実施し、誰もが実際に見られるようにするとよいでしょう。全員が意思決定プロセスに参加したと感じれば、導入しやすくなるでしょう。
ERP導入においては、主に次の3つの課題が見られますが、どのような懸念事事項にも必ず解決策があるはずです。
1.適切なERPソリューションの選択
すべてを解決する完璧なソリューションを見つける必要はありません。ERPに求められる役割は、現在使用しているビジネスプロセスから現時点での最良のプロセスを選び出して1つのシステムに統合し、従業員が同一の情報を利用可能にすることです。だからこそ、適切な導入パートナーを選ぶことが重要なのです。
2.費用の捻出
提案されるソリューションをすべて導入する必要はありません。モジュールは、ビジネスニーズに合わせて個別に購入できます。これにより、チームメンバーはERPの新たなモジュールに徐々に慣れることができ、コストに見合うか明確でないモジュールへの大規模な投資も回避できます。
3.新しいERPソフトウェアと既存のソフトウェアの統合
前述したように、どのような ERPソリューションを選択する場合でも、現在使用しているシステムと連携するだけではなく、将来の成長に役立つ機能も必要です。たとえば、財務、サプライチェーン、製造の各部署の大半で既存のソフトウェアを使用している場合、強力なビジネスインテリジェンスをもたらすソリューションを選択するとよいでしょう。
ERPは、財務、サプライチェーン、コマース、レポート、製造、人事など、企業が行う各活動を、1つのプラットフォームに統合する機能を搭載しており、企業全体の業務合理化を支援するシステムです。
現在のツールでは不十分、システムが分断されている、顧客の期待に応えられない、などの兆候が見られる場合、新しいERPの導入を検討すべきでしょう。
導入においては、適切なERPソリューションの選択、費用の捻出、新しいERPソフトウェアと既存のソフトウェアの統合などの問題に直面することが多いですが、効率的でアジャイルなビジネスを運営する上で、変化するニーズを満たし続けるERPの導入が不可欠です。
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出典:https://dynamics.microsoft.com/en-us/erp/what-is-erp/?fbclid=IwAR0wwCPjWHzdSjciQWQRISwOtrOM9i5-CV7wiVA8jmeeWMzcRGP_Pd6_C9s
解釈・翻訳:富士フイルムデジタルソリューションズ株式会社