IoTという言葉をよく耳にするようになってから久しく、多くの企業で社内システムのIoT化導入やIoT型サービスを進め始めています。
大きな背景として、現代社会においてデジタル情報を無視した事業展開自体が難しい状況にあり、今後導入するシステムやサービスもIoTのテクノロジーを活用した形で実装されることが多くなっています。
このIoTを促進する上で大前提となるのが「データ活用」であり、いわゆる「ビッグデータ分析」がもたらす効果が非常に重要な要素となります。ビッグデータ活用は積極的に行われるようになってきていますが、中でもわかりやすい実例の一つとしてダイドードリンコ社の「アイトラッキング」を使ったデータ分析の例が有名です。
自動販売機内で商品配置の最適化を行うために導入された分析ツールであり、従来の固定概念を覆す面白い結果が紹介されています。
人間は何かものを見る際に、左上から右上、左下から右下といった視線を辿ると言われています。これは「Zの法則」といって、ダイドードリンコ社もこの法則通り左上に主力商品を配置していましたが、アイトラッキングを使用してデータを収集し分析したところ、消費者の視線は自動販売機の下段に集中していることが分かりました。これはデータ分析による新たな発見であり、そこで主力商品を下段に配置したところ、売上が1.2%増加したとのことです。
一度データを活用した分析が成果につながると、改善に向けた検討は一層行いやすくなります。例えば、地域や気温差、季節ごとにこの傾向に変化があるのか?液晶表示に変更することで、常に配列を変更しながら最適な商品選択ができる形にすることで、売上拡大が狙えないか?売れ行きに合わせてダイナミックに価格を変更することで、利益率や不良在庫の圧縮を調整できないか?など、データを活用することで、様々な仮説に基づいた施策を考えることができます。さらには、そのために必要な新たなデータ収集や分析軸を使うことで、データ活用の範囲も広がっていきます。
このように、ビッグデータの活用例は年を追うごとに増えており、先進的な企業ばかりでなく、中小企業でも取り組みやすく、古くから利用しあまり改善の余地が少ないと思われるバックオフィス業務の分野などでも利用が進んできています。今後も業種や分野、企業規模を問わずデータを活用することが重要視されています。
ビッグデータ分析に取り組む企業にとってまず課題になることが「データ収集」です。ビッグデータとはまさに大量のデータなので、これを如何にして収集するかによって、ビッグデータの成否が問われるでしょう。
ビッグデータの収集源は無数にあります。Webサイト、SNSと言ったマーケティング活動に使用している環境データや、ネットワーク機器のログデータや製品に取り付けたセンサー情報など、状態を監視するためのログデータなどもよく利用されます。
これらの収集源から大量のデータを集めることは今や難しい問題ではありません。データ収集のためのセンサー技術の進化もめざましく、外観検査などの異常検知に活用されています。また、大規模なものでは橋梁システムとして橋梁のメンテナンスに必要な情報を各所に設置されたセンサーから取得し保全のプランに役立てています。
例えば当社が提供しているIoTソリューションの1つである「SAFEMO」ではウェアラブルデバイスを着用することで、屋内外を問わず作業員の安全を守るためにロケーションの管理や状態を監視することが可能です。
つまり、すでにビッグデータを活用するためのデータ基盤は整えられており、ユーザは適切なITツールを組み合わせて利用することでビッグデータを収集することが可能となっています。
ビッグデータを収集・活用する目的は企業によって様々です。デジタルマーケティングに活かしたいという企業や企業経営の指標としてデータから洞察を得たいという企業、最近では新規サービスに利用するためAI研究としてビッグデータを収集するという企業も多いでしょう。いずれの目的においても言えることが、ビッグデータの収集はIoT導入に向けた第一歩でしかなく、まだ何かを得られた状態にはありません。
米調査会社のガートナーによれば、ビッグデータは「Volume(量)」「Velocity(速度)」「Variety(多様性)」の3要素から構成される「3V」が定義だとされています。つまりビッグデータは大量であり、入出力の速度が早く、多様性に溢れているというのです。こうした定義から「ビッグデータは大量かつ様々な種類の情報でなくてはならない」という固定概念を持つ人が少なくないでしょう。
しかし、ビッグデータは必ずしも「ビッグ」である必要はなく、むしろ時として「スモール」なデータの方が分析に適していることはあります。実は、ビッグデータに取り組もうと考えている企業の中には「データの量」にばかり気が入ってしまい、不要なデータもとりあえず集約してしまうなど、肝心な目的を見失い、データの量を追求してしまう企業も少なくありません。
データ収集に役立つツールやサービスは多数存在していますので、まずは必要となるデータを正しく取得し、蓄積・分析を開始することで、さらに必要となるデータの種別を定義していくことが重要です。
そもそもビッグデータには収集の上限というものはありません。データは継続的に生み出されるものであり、かつ蓄積されていきます。そのため「ある程度データを揃えてから分析を始めよう」という考え方では、想定以上のデータを収集することになり効率性が下がってしまいます。さらに「ビッグデータがやっと溜まった」という段階でデータサイエンティストに大量のデータを丸投げしても、ビジネスへの新しい知見や洞察を得るまでにはかなりの時間がかかるでしょう。
そこで有効なのが「データを収集しながら分析する」ということです。ビッグデータ活用では、苦労して収集したデータであっても実際に利用されるものはそのうち3割程度であることが多く、そもそも不要なデータであったり、収集できても加工が必要ですぐには分析できる状態にないということも頻繁に起こります。
そこで、段階的にデータを収集し適切な分析を行いながら活用することで、初期段階から小さな成果を積み上げながら進めることが大切です。つまり「データを収集しながら分析」「常に見直しや改善を行いながら拡張する」など、従来のシステム開発やサービス利用と異なり、継続して改善し続けることがとても大切になります。
多くの技術進化により、IoTの導入は数年前と比較して格段に容易になっています。また、クラウド型サービスを利用することで、導入時の負担は最小限に軽減されながらIoTの恩恵を享受することも可能です。
当社では、工場・プラント施設・建設現場・工事現場・トンネル工事・倉庫作業などの安全管理に最適な安全見守りクラウドサービスを提供しています。
前述したとおり、IoT導入のキーはデータ収集ですが、工場や建設現場では、そのデータ収集が非常に困難です。そこで、社員の健康・行動・居場所を見守るIoTソリューションや、リアルタイム体調管理、位置情報把握に最適なウェアラブルデバイスを提供しています。
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