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ERPに関する調査から分かること(1)

 

 数年前より、情報化投資については、ビジネスの成長や利益を生み出す投資に重点が置かれて来ているといわれています。バックオフィス中心の基幹系システムへの投資や維持運用をいかに削減して、本来の事業発展に役立つ分野への投資に振り向けるかが重要なテーマとなっているのです。

 このような企業環境の中でERPを用いて基幹系システムの再構築を進めるには、業務効率化による導入効果を期待効果として挙げることが経営からは求められることになります。

 最新の情報ではありませんが、米ガートナー社の「CIOアジェンダ・サーベイ2017」の新規・裁量的IT投資で金額が大きい分野に関する回答を見ると、先進企業ではデジタル化/デジタルマーケティングが20%でありERPはわずか8%であるのに対して、日本企業ではデジタル化/デジタルマーケティングがわずか3%、ERPは実に26%であり、日本企業ではまだERPへの重点配分が続いている状況です。

 つまり、日本企業は既存の業務プロセスを改善するERPへの投資に追われ、まだ、新しいデジタル化の分野に十分に投資できていないという実態が読み取れます。

 同じガートナー社のサーベイでCIOのコスト削減目標に対する平均達成率については、先進企業が76%であるのに対して日本企業が51%と日本企業ではITコストの削減があまり達成できていない状況が分かります。

 一方、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査(20176月調査)」によれば、2017年度のソフトウェア投資額は前年度比7.0%増と、多くの企業が2017年度のIT投資額を大幅に引き上げており、企業規模別に見ると中堅企業では10.6%増、中小企業では21.7%増と、大企業の5.0%増より格段に大きく、中堅中小企業の方がIT投資に積極的であることがうかがえます。

 これは、中堅中小企業では、人手不足による事業展開の制約や賃金上昇によるコスト増をIT活用による省力化・効率化投資で対応していくことによるものと推定されます。

 まとめると、日本の企業ではまだまだ既存の業務プロセスを改善するERPへの投資に追われており、中堅中小企業の方が大企業と比べて、この傾向が強いということです。

 これからERPの導入を計画されている企業においては、業務効率化による導入効果を期待効果として挙げる計画を作っていくことが求められます。