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AIが拓く、次世代のビジネス変革

 

AIの急速な進化は、ビジネスに大きなイノベーションをもたらしています。今回は、CRM(顧客関係管理)・ERP(企業資源計画)システムにおけるAIの動向を紹介します。

ビジネスAIイノベーション

変化の激しい現代において、実用的で迅速に価値を生み出すCRMやERP システムを必要としている企業は多いでしょう。これらのシステムには、生成AI、自動化、その他の高度なAI機能が組み込まれています。従業員はより効率的な新しい働き方を体験でき、顧客はこれまでにないレベルの個別化されたサービスを享受できるでしょう。
AIを活用したCRMおよびERPシステムは、以下のように、ビジネス変革、イノベーション、効率化の推進に役立ちます。

  • 業務の合理化:CRMおよびERPシステムをサイロ化されたアプリケーションから統合・自動化されたエコシステムに変換し、チームのコラボレーションとデータ共有を強化します。
  • 意思決定の強化:すべての従業員にAIによる自然言語分析を提供し、意思決定に必要なインサイトを迅速に生成し、新しい市場機会を特定できるようにします。
  • カスタマーエクスペリエンス(CX)・エンプロイーエクスペリエンス(EX)の向上:360度の顧客プロファイルを使用して、顧客エンゲージメントを個別化します。また、AIを活用したチャットボットや自動化されたワークフローによって生産性を向上させ、従業員はより戦略的で価値の高い業務に専念できるようになります。

2023年は、CRM・ERPシステムにおけるAIの分野で大きな進展がありました。
Microsoftは、Dynamics 365向けの新しいAI搭載ツールや機能を展開しました。その中でも特に注目されたのが、世界初のCRMとERPシステム向けに開発されたAIアシスタント「Microsoft Copilot for Dynamics 365」*1の登場と、その機能の拡充です。
Microsoft Copilot for Dynamics 365の活用事例を見ていきましょう。

アバナードの事例
5,000以上のクライアントを持つアバナードは、Microsoft Copilot for Salesを使ってコンサルタントの営業生産性を加速させました。以前は、コンサルタントが手動でMicrosoft Dynamics 365 CRMシステムのクライアントレコードを更新し、リードの資格審査や顧客理解に必要な情報を、別のアプリで検索する必要がありました。しかし今では、AIアシスタントを活用することで、Dynamics 365のレコードを素早く更新したり、メールや会議の要約を作成したり、営業活動の準備などを行うことができるようになりました。 

ドミノ・ピザ UK & アイルランド社の事例
ドミノ・ピザ UK & アイルランド社は、Microsoft Dynamics 365 Supply Chain ManagementのAI搭載の予測分析機能を活用することで、優れたカスタマーエクスペリエンス体験(CX)と在庫および配送の最適化を実現しました。
以前は、1,300 を超える店舗の需要予測をスプレッドシートに頼っていました。スプレッドシートでは時間がかかりミスが発生しやすい状況でしたが、インテリジェントな需要計画機能を使うことで、予測精度を72%改善することができました。
また、予測精度の向上により、各店舗に適切なリソースを適切なタイミングで提供できるようになりました。

マーケティング、販売、サービスにCRM AIを、財務、サプライチェーン、オペレーションにERP AIを導入し、戦略的に用いることが、競争に勝ち抜く上で不可欠となるでしょう。


図:Microsoftのソリューション

2024年のCRM・ERPにおけるAIのトレンドとインサイト

今後、CRM AIやERP AIは革新的な方法で使われ、従業員もこの変化を受け入れていくでしょう。
AIがどのように仕事を変革しているかを調べた最近の調査で、Microsoftは生成AIの初期のユーザー数百人を調査しました。主な調査結果は以下の通りです。

  • ユーザーの70%が生成AIによって生産性が向上したと回答
  • ユーザーの68%が生成AIによって仕事の質が向上したと回答
  • 調査対象の営業担当者の64%が生成AIによって顧客対応をより個別化できたと回答
  • 調査対象の67%が生成AIによって顧客対応により多くの時間を費やせるようになったと回答

ビジネスにおけるAIの勢いは、今後ますます拡大していくでしょう。IDCの予測によると、AIソリューションへの世界の支出は2027年までに5000億米ドル以上に達します*2

2024年に注目すべきAIトレンドには、以下のようなものがあります。

  • データ駆動型の戦略と戦術の拡大
    Copilot機能を備えたユーザーフレンドリーなインターフェースや、データ可視化機能を備えたカスタマイズ可能なダッシュボードにより、あらゆる部門の従業員がAIの生成したインサイトにアクセスし、それらを状況に合わせて活用できるようになります。必要な情報がすぐに手に入るようになることで、従業員はより迅速で賢明な意思決定ができるようになります。
  • パーソナライゼーションとユーザーエクスペリエンス(UX)の重視
    予測販売やマーケティング戦略が成熟し、AIを活用してお客様の行動や嗜好を予測し、顧客ジャーニーをマッピングすることで、マーケターはより創造的になり、営業担当者は顧客とのエンゲージメントを高めることができるようになります。また、AIを搭載したCRMプラットフォームは、ソーシャルメディアやその他のデータをますます充実させ、ブランド認知や顧客行動に関するより深いインサイトを提供してくれるようになるでしょう。
  • AIとクラウド技術を活用した効率性の向上
    AIを搭載したCRMやERPツールの機能と、膨大なデータを保存できるスケーラブルで柔軟なクラウドプラットフォームを組み合わせることで、効率化が促進されます。また、自動化の新しい活用事例を見つけ出し、クラウド環境で迅速に構築・展開していくことで、さらに生産性と業務の正確性が向上していくでしょう。
  • AI倫理への注目の高まり
    AIの倫理的な利用に対する社会の関心が高まっています。責任あるイノベーションを実現するには、企業がAIの倫理原則に沿って事業運営や成長戦略を調整する必要があります。

Microsoftは、責任あるAIの原則を定義し、その実践を支援しています。具体的には、AIの開発と利用における倫理的な指針を示すとともに、AIに関する政策、研究、エンジニアリングの分野で先導的な取り組みを行っています。

CRM・ERPシステムにおけるAIイノベーションの展望

AI エコシステム全体にわたるイノベーションに注目しましょう。例えば、ローコード/ノーコード開発プラットフォームは継続的に進化しており、ローコード/ノーコードツールを使えば、テクニカルユーザーだけでなく非テクニカルユーザーも、AIを活用したプロセスやアプリを作成できます。

AIのイノベーションにより、AI倫理学者、AIインテグレーター、AI トレーナー、AI コンプライアンス・マネジャーといった新しい職業も生み出されるでしょう。こうした新たな役割と継続的なAIスキル開発は、従業員を変革し、AIの成熟度を高めていく上で、ますます重要になっていくでしょう。  

AI導入に向けたベストプラクティス

CRMやERPシステムでAIによる変革を推進するには、組織にとって最適なアプローチを慎重に計画し、実行する必要があります。進化を続けるAI導入のベストプラクティスは、以下の通りです。

  •  戦略的な導入:従業員の能力向上とビジネスプロセス最適化のための長期的なAI導入戦略を策定します。データ駆動型の企業文化、関連スキルの開発、CRMおよびERPシステムにおけるスケーラブルで使いやすいAIツールを重視します。
  •  倫理的なAI活用:倫理的ガイドラインを遵守しながら、AI支援による業務自動化から始め、イノベーティブな価値創造につなげていきます。同時に、組織の相互連携を確保し、AI活用を推進していきます。
  •  データ品質とセキュリティ:データの完全性とセキュリティ基準を維持し、バイアスを回避して信頼性を確保するため、AI学習データを定期的に監査します。
  •  ビジネス目標との整合性:戦略的目標とAI活用との整合をとり、ビジネス成果への影響を測定し、ステークホルダーへの潜在的な悪影響を積極的に管理します。

AIについて理解を深めていく中で見失ってはいけないのが、人間とAIの協調の重要性です。組織全体で、人間の専門知識と意思決定を置き換えるのではなく、強化するためにAIを活用することを推奨しましょう。

従業員は自動化されたワークフローやAIが生成するインサイトや提案を評価するでしょう。しかし、AIは完璧ではないことを忘れてはいけません。ビジネスが成功するかどうかは、依然として賢明で意思決定を行う人間にかかっています。人間とAIが協調して進化していくことが重要です。

ビジネスにおけるAI活用の重要性

AIは、あらゆる業界のビジネス変革と効率化を加速させる大きな可能性を秘めています。フォレスター・リサーチ社の調査によると、AIに投資する企業は、2024 年に生産性と創造的問題解決(数多くの解答がある問題の解決を、従来とは異なった新しい方法によって行うこと)を 50% 向上させると予想されています*3 。

Dynamics 365 の Copilot をはじめとする AI を活用した機能により、統合エコシステムの構築、成長の加速、卓越したカスタマーエクスペリエンス(CX)の提供が可能になります。また、生産性と効率性の向上を実現しながら、オペレーションのアジリティを継続的に向上させることができます。2024年を変革の年にするために、今すぐAIを活用しましょう。

まとめ

AIを活用したCRMおよびERPシステムは、ビジネス変革、イノベーション、効率化の推進などに役立ち、業務の合理化や意思決定の強化などが期待できます。
Microsoftが生成AIの初期ユーザー数百人を対象に行った最近の調査によると、生産性や仕事の質の向上、顧客対応の個別化、顧客対応時間の増加などの成果が見られます。
AI搭載のCRMやERPシステムを導入し、戦略的に用いることは、競争に勝ち抜く上で不可欠となるでしょう。
導入においては、戦略的な導入、倫理的な採用、データ品質とセキュリティ、ビジネス目標との整合性などに留意する必要があります。


富士フイルムデジタルソリューションズは、製造業を中心とするお客様への豊富なMicrosoft Dynamics 365導入経験とノウハウを活かして、スピーディな導入をご支援いたします。
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*1 Dynamics 365 Copilotは、リージョンごとに利用可能な機能が異なります。詳細はMicrosoftのサイトをご確認ください。
*2 IDC Blog, Top 10 Worldwide IT Industry 2024 Predictions: Mastering AI Everywhere, 1 November 2023.
*3 Forrester 2024 Predictions: Exploration Generates Progress, Forrester Research, Inc., October 2023.

出典:https://cloudblogs.microsoft.com/dynamics365/bdm/2024/03/04/ai-in-crm-and-erp-systems-2024-trends-innovations-and-best-practices/
解釈・翻訳:富士フイルムデジタルソリューションズ株式会社