製造業のサプライチェーンは、パンデミック後のパラダイムシフトにより、B2B(企業間取引)モデルからD2C(消費者直接取引)モデルへと、ビジネスモデルが進化しています。
それにつれて、サプライチェーンには、レジリエンスを構築し、トレンドを先取りするためのアジリティとイノベーションが求められています。
米国のD2C eコマースの売上は、2015年から6年間で3倍以上に増加、2016年から約5年間で、市場はほぼ1,000億ドル増加し、2024年には2,129億ドルに達すると予想されています。(日本における2020年度の通販売上高は10兆6,300億円(前年度比20.1%増)、2026年のEC市場は29.4兆円規模となる見込み*1)D2C、B2B、ラストワンマイルの配送ボット、ドローン、自動運転車など、サプライチェーンの複雑性が増す中、コスト削減にとどまらず、ネットワーク全体の戦略が必要となっています。
近年注目を集めているコンポーザブル・アプリケーションは、機能ごとにパッケージ化されたビジネス機能を組み合わせることにより、短期間でのサービス提供を可能とするクラウドベースのテクノロジーです。アプリケーション全体を変更せずに部分的に変更できるため、スプリントで、異なるモジュラーアプリケーションを段階的かつアジャイルで組み合わせることが可能です。そのため、導入企業がサプライチェーンデジタル化のどの段階にあるかにかかわらず、迅速に効果を得られます。
顧客体験の質を決定するのは、デジタルサプライチェーンの有効性であり、コンポーザビリティ(システムの要素を再結合し、より大きなものにする能力)はサプライチェーンネットワークの革新を可能にします。コンポーザブル・アプリケーションには、主に3つのメリットがあります。
今日のサプライチェーンネットワークには、サイロ化されたデータは通用しなくなっており、すべてのステークホルダーとのコラボレーションが必要となっています。
コンポーザブルでモジュール化されたアプリケーションは、最新のオープンプラットフォームとローコード/ノーコードインターフェースにより、既存のシステムとシームレスに統合可能です。さらに、予測分析やアジャイル製造などの革新的な機能をサポートし、リアルタイムかつクロスチャネルな在庫可視化を実現するとともにネットワーク戦略を強化し、サプライチェーン管制塔の迅速な導入を可能にします。
コロナウィルス感染症の大流行により、eコマースへの新規参入者が増え、多くの既存ブランドが市場シェアを維持するためにD2Cに取り組むようになりました。また、オムニチャネルの台頭により、購入、配送、返品が容易になり、消費者の購買行動が多様化しました。サプライチェーンが混乱する中では、このような動きが重大なリスクとなりかねません。しかし、拡張可能なコンポーザブルツールによって、注文を予測し、混乱を緩和するためのエンドツーエンドの可視性を備えたサプライチェーン管制塔を実現することにより、リスクの軽減が可能です。
Forresterの調査によると、小売業者と消費財メーカーの49%が、サプライヤーから工場に至るまでサプライチェーン全体の可視性の向上に取り組んでおり、良好な顧客体験には可視性が不可欠であると認識されています。
サプライチェーン管制塔は、複数のサプライチェーンネットワークからリアルタイムデータを取得し、多次元ビューやシームレスな返品、配送遅延を未然に回避する輸送最適化などの機能を提供します。Dynamics 365 アプリケーションのDynamics 365 Intelligent Order Managementは、エンドツーエンドの可視性を実現するさまざまなモジュールソリューションによって、価値の高い、一貫した顧客体験の提供を可能にします。
コンポーザブル・アプリケーションは、各ノードレベルでの最適化を可能にし、内蔵AIと機械学習機能による高度な分析により、メーカーは予測データに基づいた結果で仮説を検証できます。
前述のForrester社の調査によると、56%が、サプライチェーンのアジリティを高めるために最も重要なことの1つは、プロセスの自動化を推進するために機械学習とAIの利用を増やすことであると回答しています。
革新的なサプライチェーンネットワークでは、AIと機械学習を組み込んだコンポーザブルデジタルツールを活用し、意思決定の改善、異種データの統合、混乱の予見、より深いインサイトの活用を実現します。
アジャイルでレジリエントなサプライチェーンでより多くの成果を上げる
Dynamics 365 は、サプライチェーンネットワークを革新し、コンポーザビリティによってレジリエントで持続可能なものにします。ERPおよびCRMシステムとのシームレスな連携によって、市場の変化に迅速に対応したり、API対応アプリケーションと統合したりすることが可能です。コネクタにより、注文配送、税務コンプライアンス、価格計算、輸送、およびその他の物流サービスのための機能拡張も可能です。
これらの機能を活用することによって、受注管理プロセスのデジタル変革を加速し、受注処理で競争優位性を保つことができます。また、AIを活用してフルフィルメント(EC事業等で商品の注文を受けてから発送までの一連の業務プロセスの総称)を自動化・最適化してリアルタイムの在庫可視化やエンドツーエンドのネットワーク可視化を実現することも可能です。
以上のように、コンポーザブル・アプリケーションには、オープンプラットフォームによるイノベーション、エンドツーエンドの可視性、AIとのコンポーザビリティとインサイトという主に3つのメリットがあり、サプライチェーンネットワークの革新を促進します。Dynamics 365 の導入は、アジャイルでレジリエントなサプライチェーン構築の第一歩となるでしょう。
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*1参照:2020年『ITナビゲーター2021年版』野村総合研究所
出典:https://cloudblogs.microsoft.com/dynamics365/bdm/2022/05/19/3-advantages-of-composable-applications-to-empower-supply-chain-network-innovations/
解釈・翻訳:富士フイルムデジタルソリューションズ株式会社